静音の小径 其の2

アクセスカウンタ

zoom RSS ちょっといい話

<<   作成日時 : 2011/02/27 23:07   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 1 / コメント 18




Yo-Yo Ma:Suite No.1 BWV1007 4
画像


いくつもの峠を越えてきた
この山の向こうが目指すところ

右手が駿河湾、左手が相模湾
ここは半島がいちばんくびれた所だ


箱根あたりから東名高速道路はふかい霧
まるでわたし自身の心のなかを覗いているようだ

画像

 母は緩和ケア病棟に
 一週間だけ入院
 家族に休息を与えるのが目的
 二ヶ月に一度くらいなら入院を
 とドクターの笑顔は優しかった

 涙がでそうなほどうれしかった


痴呆といっても別に大変ではないのです
大声をだして暴れたり、徘徊したりするわけでもないのです

ただときどきわたし自身が無性に不安になるのです
見えない未来がそうさせるのだとわかっていても

それと親子であることの確執からは
もう解き放されたと思っていても
冷たい目で心を射抜かれているような
恐怖を感じることがあるのです


病院とは思えないほどのゆとりのあるあたたかい空間
看護婦さんはおっとりと
「のちほどまたお話を伺わせてもらいにきますね」と




画像
 こうして
 わたしの誕生祝いもかねて
 小さな旅にでた

 伊豆半島は
 火山岩でできているのか

 樹木らしいものもない
 不思議な山が連なっている



画像


玄岳あたりで視界が左右にひらき
見たことのない世界に息をのむ
画像
眼下には熱海の街
小さく浮かんでいるのは初島
はるか沖
雲にまぎれているのは大島




右手には駿河湾
右から香貫山・徳倉山・鷲頭山・大平山と連なる沼津アルプス

かすかにのぞくは江浦湾
どこまでも幻想的な世界
未知の旅への始まりだ

画像


南下するにつれ
重くたれ込めていた雲がはれていく

グラデーションの山並みを
ひとつひとつと越えてゆく


また思いは巡る
夫は
「母が口をきかないのはあなたに対してだけではないのか
きっと絶望しているのだろう」と・・・

「こころの病理学」を書いた李敏子さんはいう
<魂とのつながりを取り戻すことは生命力を取り戻すこと>

生きる屍のようになってしまった母を前にときどき哀しくなる
わたしは母に自分の魂とつながる回路を
断ってしまったのだろうか



画像

 巣雲山から
 富士が見える
 と聞いた

 なぞれば
 おぼろげに
 冨士の裾野





伊豆スカイラインの終点
天城高原ICに
雪はのこっていた

樹の根のまわりは温かいのだろうか
ぽっかりとそこだけ雪が解けていた

画像


その夜
プレゼントされた
電子書籍を読みながら
眠りにつく

わたしが老人ホームに行くときに必要かしら
と話していたのだけれど
家族の配慮で
惚ける前に操作を覚えることになった
画像

ウイスキーを持参しなかったことを恨みながら
土屋守さんの「ウイスキーちょっといい話」を読む

前にも読んだはずなのに
それでも新鮮に読める
年をとるってすてきなこと



 年々にわが悲しみは深くして
 いよよ華やぐいのちなりけり
      (岡本かの子 老妓抄)



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 5
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
たどたどしくつづられたほんとうのことば
1ヶ月前に伊豆にいきました やっと春のごたごたがおわって 一息ついてふりかえることができます ...続きを見る
静音の小径 其の2
2017/04/26 23:56

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(18件)

内 容 ニックネーム/日時
誕生祝いに伊豆への小旅行をプレゼントされたのですかね。一人になって静に自らを省みる時間を得られたことは素敵ですね。お母様とのこと、大変ですね。他人が口を挟むのは憚られますが、やはり以前静音の小径に書かれていた、亡くなられたお姉さまへのお母様の深い悲しい思いのお話。あれをご自身が知っており、そのことで深く考えさせられたということを、一度お母様にお話になったほうがよいのではと思います。お母様がその話を理解しようがしまいがかまわず、一度ご本人に向けてご自身の思いをぶつけておかないと、お互いの閉ざされた心の扉は閉まったままなのだと思いますよ。これは理性の問題ではなく感情の問題ですから。頭でわかったつもりでも心の奥底にはまだわだかまりがある。お互いにね。これを解消するには、感情を吐き出さないと。つらいかもしれませんが、乗り越える方法はこれしかないような気がします。残された時間もあとわずかですので。
コアラ
2011/02/28 12:49
伊豆へのしばし休息の旅に出かけられたのですね〜♪私も伊豆スカイラインから眺める風景が好きです。。ブルーグレイのグラデーションが綺麗ですね〜♪
私にも母との確執がないわけではありませんけど、母も90歳に近づき、ただ優しく接したいと願っています。。
電子書籍、私も興味を持っています。電車などでは便利かと・・・
komichi
2011/02/28 23:26
おはようございま〜す。
気分転換は必要です。
ののはなさんのことですから、学校の方も、お孫さんのお世話も、お母さんの介護も一生懸命してるんだと思います。
自分の気持ちを開放してくださいね。
青空は白い雲の上にありますよ。だいじょうぶ。
詩音連音
2011/03/01 07:57
暗い雲がたれ込めた景色はいろんな風に見えますね。ののはなさんの目を通して見える世界に引き込まれます。
明るい青空が広がるだけの景色よりはるかに魅力的に見えてしまいます。
小さな写真ですが心に深くしみいる写真。こんな表現法もあるんだということ教えられます。
noriko
2011/03/01 19:50
良いことですね。
自分を見つめる旅・・・・
本当はすべてを忘れて旅ができると良いのですが・・・

それでも、心から離れることはできない・・・
人の悲しき性なのかも知れません。
でもだから人なのかも・・・

私も、先日、従姉妹のコンサートを聴くために小さな旅をして、
5年ぶりに泊まりの一人旅をしました。
もっとも、年に70日くらい宿泊のしていたのによく眠れませんでした。
そういうものなのかも・・・
従姉妹の演奏は眠らずに楽しんできました。

明日は母親の介護計画の会議・・・
母も、私たちも生きていかなければならないようです。
オコジョ
2011/03/01 21:51
山々の景色からは、お母様の心を映したかのような寂しさが感じられます。心配でしょうが、見守るしかないのでしょうね。晴れた日には、また違った風景に出会えるでしょう。きっと気持ちも明るくなります。
庭花
2011/03/02 10:03
伊豆高原に小旅行でしたか。
リフレッシュも必要ですね。

ドクターの言葉にホッとされたことでしょう。
私の友人は痴呆の方のケアを仕事にしていますが、相手が他人だから優しく接することが出来ると言ってます。

電子書籍、プレゼントされたのですね。
私も今、興味津々です。
ハーモニー
2011/03/02 21:22
◇コアラさん◇
こんばんは。いろいろ考えてもらってありがとう!ちょっと息抜きをしてきましたが、帰ってきてからはなんだか生活に追われています。いささか精神的にもゆとりがない日々です。
そうですね。村上春樹の1Q84の天吾君が父親との最後の関わり方のようなことをすればいいのかな、なんて考えています。しかし日々の世話に明け暮れているとそういった心のゆとりもないのが現実。昨日、ヘルパーステーションの人から「1時間では母の下の世話と簡単な昼食(エンシュアという栄養剤の飲み物+ヨーグルト)、手浴、足浴、口腔ケアは無理。下の世話はベットの上でおむつ交換のみにしたいのだが・・・」と。1回の母の世話は1時間では足りない。摘便が入ったり、食事作りまで入れたら・・・。だから昼はエンシュアという缶詰を開けるだけなのだが・・・。そういわれてほんとうに大変なんだろうなって。わたしも日に5時間は母の世話でつぶれる。孫の世話、朝、保育園に連れて行くのではなく、わたしがマンションにでかけ赤ちゃんを見ることになったので、もう朝は大忙し。これで2時間、夕方のお迎えと遊びで4時間。仕事が6時間。こうやって書きだしてみると、17時間はもう使っている。たしかにゆとりはないはずですね。今日も病院に電話をするの忘れたり、買い物に行ってめあてのものを買い忘れたり、自己嫌悪ばかりになっていますが、多忙すぎるのですね。で、この合間合間にコアラさんの提案を考えています。もしそういう気持ちになれたとしたら、なにをどう話したらいいのだろうか。先日息子が久しぶりに母の部屋に入ってきて「おばあちゃん、あんまり純真な目をしているのでびっくりしたよ」って。そうなんでしょうね。もうわたしのいう言葉をオウム返しにするだけで精一杯。むずかしい文章はわからない。こんにちはっていうと「こんにちは」と返ってくる。それでいいのかもしれませんね。
ののはな
2011/03/02 23:27
◇komichiさん◇
霧にまかれた旅になりましたが、それはそれでいいものでした。今ふたりの孫にまごまごで多忙の二乗です。この日はいないよって言ってあったのですが、彼女は忘れていたらしく、向こうのご両親に来てもらっていたようでした。そうやって自分の時間を作るしかないのでしょうね。電子書籍、音楽の入るので聴きながら読む、メモもとれるので、外出時には重宝します。旅行では本やMDを持ち歩かなくてもいいので良かったです。
komichiさんのお母様も母に近いのですね。しっかりなさっているからいいですね。母もふがいないことでしょうね。死ぬ日までしっかりしていることが念願だった人ですから。伊豆の旅、早く続編をアップしたいと思いつつ、土曜日までには・・
ののはな
2011/03/02 23:35
◇詩音連音さん◇
そうですね。あほですよね。もうちょっといい加減にならなきゃね。手を抜いても自分を許せるように。母のおしりぐらい毎回お湯で洗わなくてもいいのですよね。でも便こねをされ、毎回おむつをいじっている母を見ると、気持ち悪いのだろうなって。またおむつ換えるヘルパーさんも臭いとよけいいやだろうなって考えて。でも手をもう抜いていいのでしょうね。
続編楽しみにしていてくださいね。来週には。白ライオンの話ありがとう。アメリカは皆殺しの歴史の国だから、銃があるのになぜ殺せないのだと思っている白人がいるのでしょうね。怖いことです。
ののはな
2011/03/02 23:40
読ませて頂きながらうなずいてしまいました。・・・
心も体も休める旅良いですね。時間が許せば時々出来ると良いですね
仕事をしてると中々時間作るの大変ですが・・・
介護と聞くと頭が下がりますが・・・一人で頑張らないで下さいね。
しまちゃん
2011/03/03 18:12
◇norikoさん◇
norikoさんのようにまじめに写真の勉強をしたいけれど、いい加減な性格です。先日最近カメラをはじめた息子にちょこっといいこと教わりました。う〜ん何十年とカメラ持っていたのに、何してたんだろうと恥ずかしい思いですが。そちらはまた雪ですね。ものすごく冷たい風が吹き下ろし、そちらの寒さを思っています。
ののはな
2011/03/05 23:38
◇オコジョさん◇
いつもいつもご無沙汰ばかりで・・・すごく反省。でも仕方ないかとすぐあきらめ。そんな不義理もなんのその、伊豆へ行ってきました。わたしの心のような1日目でした。従姉妹さんのコンサートですか。すてきなことですね。オコジョさんも幅広い教養をお持ちなわけがだんだんわかってきます。すてきな方と繋がっていることの幸せをしみじみ感じています。もっともっとじっくりオコジョさんのブログを地図とにらめっこして読んでみたと思いながら、時間に追われています。お母様お元気ですか。ご家族としてやれることをやるしかないですね。
ののはな
2011/03/05 23:43
◇庭花さん◇
そうですね。この日はほんとうに目の前が真っ白で、中央分離帯の白線をみつけるのも大変でした。でも母は病院から元気に戻れて良かったです。ありがとうございます!
ののはな
2011/03/05 23:45
◇ハーモニーさん◇
そうですね。親子って案外いろんな確執があるものです。それを乗り越えてっこそ老後をみとることができるとか。わたしにはただただ今日一生懸命いきるのみです。今日からベットでおむつを替え、ベットで食事にしました。水分補給用のゼリーを昨日ネットで購入しました。日々進化。それに対応していくだけです。電子書籍、まだまだ登録されている本が少ないので、これからが楽しみです。
ののはな
2011/03/05 23:49
◇しまちゃん◇
ありがとうございます!時々はめげます。でも家族に救われています。それと植物に。クリスマローズ、白い花10個もつけました。
ののはな
2011/03/05 23:51
ののはなさんの御誕祝に
旅行なんて素敵なプレゼントです
介護はエンドレス、何時までと思うと不安になります。
夫の母は102歳、私の祖母は99歳と
痴呆になってストレスが無くなったのか長生きしました。

自宅での介護は大変です。
二ヶ月に一度位でも一週間の入院は有り難いです!
身内は元気な姿を知っているだけに辛いんです。

クリスマローズ、白い花10個もつけたのね。
お孫さんや お花にも癒して貰いましょうね♪

我が家の母も頭はクリアでプライドが高いし
寝たきりなので本人は 尚更辛いようです。

eisui
2011/03/06 07:38
◇eisuiさん◇
 そうですね。誕生日はもう長くだれにも祝ってもらったことがなく、ただ数年前からひとりのお嫁さんだけは誕生日にはきちんと家族で祝いに来てくれます。お花やケーキをもって。それまでは母から電話が来るだけでしたね。
 今はその母もひっそりとベットのなか。eisuiさんのご家族は長寿ですね。すてきな暮らし方をされていたのでしょうね。友人のお母様がやはり100歳以上でしたが、最後にお会いしたとき、元気に籐の椅子に腰掛けて「1秒って長いのね」とおっしゃって手を打っておられたこと覚えています。ご兄弟の家を代わりばんこに巡っておられました。うちの母はわたしひとりしかいないのでお気の毒です。いやでも他には行けないのですから。
今月のショートは中止にしました。先日も熱をだしたりひきつけを起こしたりしているので、たぶん預けてもすぐ戻ることになりそうなので。かえって母にもしんどい思いをさせるだけなので。やはり家でみることに・・・。春休みには夕方のヘルパーさんを入れて、ゆっくり外で過ごす時間を持とうと思います。植物たちも目を覚まし始めるでしょうから。
クリスマスローズなぜかすきです。以前横浜の街中で、街路樹の下草として大きな株で見ました。それはそれは見事でした。わたしは八重よりも一重の花が好きで、いま名前はわからないのですが、3種類あります。
お母様もおつらいでしょうね。わたしは自分はどうするんだろうって思います。わがままでプライドがあって・・・かなり問題児ですから。人ごととはおもえませんね。
ののはな
2011/03/08 22:56

コメントする help

ニックネーム
本 文
ちょっといい話 静音の小径 其の2/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる