静音の小径 其の2

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<<   作成日時 : 2017/02/04 23:37   >>

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Charlie Haden and Kenny Barron - Twilight Song



Twilight Song, written by Kenny Barron
From the CD Night and the City
Kenny Barron, piano
Charlie Haden, bass
recorded live at Iridium, September 1996


Charlie Hadenのベースはもちろん
Kenny Barronの透き通るようなピアノが素敵です
是非聴きながら読んでくださいね

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「火山島の神話」-『三宅記』現代語訳とその意味するもの-


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 友人が教えてくれた
 この書を手にしたとき
 半世紀にもなる
 遠い昔の記憶が
 よみがえってきた

 懐かしさと
 慚愧の念で
 いっぱいになりながら
 ページを開き
 そのあまりにも
 専門書的な本に
 気後れを感じた




-『三宅記』現代語訳とその意味するもの-
という副題がなかったら手に取ることも難しかったかもしれない
それほどに今までの人生では全く縁がない分野の研究書

そこで、まず「あとがき」から読み始めた

著者がなぜこの神話の根拠を探ろうと決意したのか
そのきっかけが2000年の三宅島雄山の大噴火にあると知る
著者は世田谷区役所で福祉関係の担当で三宅島の被災者に出会っている

わたしもその当時、桜道中で三宅島から自主避難した少女に出会っている
彼女は生徒会の役員になり、みんなに三宅島の現状を話した
生徒会で三宅島の被災者を支援しようという機運が高まった
毎朝、彼女らは校門に立ち、多くの募金があつまった

わたしと著者とのささやかながらの接点を見いだして
わたしには[この本読んでもいいよ]って許可をもらったような気持ちになる


著者が伊豆諸島に関心を持ったのは
噴火の避難民に出会ったことがきっかけかもしれないが
そもそも御蔵島・三宅島で、社会人としての人生をスタートさせたことが
島の民族史に興味を持つきっかけだったのではないだろうか

伊豆諸島の人々には若いときにお世話になった御礼として」と
人との出会いをとても大切に生きてこられた著者の姿が好ましく思える


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わたしの個人的な話になる
2003年ごろだったか
青ヶ島に単身赴任した友人は
なんにもない島での
暮らしぶりを
時々電話で伝えてくれた






「あなたなら、野鳥がたくさんいるから興奮するわね
でもわたしはひたすら星の観察をしているの」と
そういえば彼女は理科の教員だった


「(伊豆諸島の)歴史を紐解くと・・・石器や土器の発掘の次は、流人の話である」と
たしかにそうだね

わたしは28歳のとき
宮本常一が監修する「日本残酷物語」を全巻読み
はじめて忘れられた人々の暮らしや流人のことを知った

それで、有吉佐和子の「海暗」を読んだ
御蔵島を舞台にしたこの本で
愚直にも率直に生きるオオヨン婆の言葉に真実をみた
有吉佐和子の本でわたしの目はつぎつぎに開眼されていった

「非色」もその一冊だ
有名な「複合汚染」も環境問題に関心を持たせてくれた一冊だ

有吉佐和子はとても優れた女性だと思っている
だから彼女が早死にしたことがなんとも悔しい

また脱線してしまった
こんなことではこの一冊を読み終えるのに年単位の時間が必要だぞ
どこかで警告の声がする


「(伊豆諸島に)歴史がなかったわけでもないのに中間がすっぽり抜け落ちている」と
そっか、著者が「火山島の神話」を研究しようと思った理由は案外ここなんだね
歴史の空白である中世の姿ね〜たしかにそれっておもしろいかもしれない
とにかく読んでみるしかないねって気持ちにだんだんになる


著者は謎解きのように楽しんで執筆されたのか
文章は簡潔でそれでいて謙虚だ
文とはまさに人となりだね
自説を主張するときも根拠がきちんと述べられている


最近の政治家(トランプ?安倍晋三?)の
根拠のない感情むき出しの言葉にいらいらしていた
反知性主義が世の中を制圧する時代なのかと日々憂鬱だった
だから、こういう論理的な文章はほっとする
そうよ、何の役に立ちそうもない学問にも意味はあると力説したくなる


「(ローカルなテーマだけど)興味を持つ人や課題を担う人が一人でも現れてほしい」と
わたしにはとうてい「課題」とはなりえないが「興味」は少しずつ芽生えている


伊豆諸島から本土の宗教事情を照射する問題意識として受け止めていただければ」か
一体、本土の宗教事情ってどういうことだろう
神道のことも仏教のことも関心の外という人生を歩んできた
わたしには今はなにもわからない

日本会議がどうやら今の政権を牛耳っている黒幕かもしれない
という漠とした不安があり
それに所属する神社本庁にほとんどの神社が関係しているらしいと知り
今年は地元の氏神にさえ初参りもできなかった

これはわたしにとって悲しいことだ
なぜなら・・・
また脱線することを許してもらいたい

1995年頃、ちょうど数学を教えていた中1の男子生徒に
「ホームページ作ろうと思うのだけれど・・・教えてよ」とメールを出したら
「先生はHPでなにがしたいの?」と逆に突きつけられた
そこで「一体わたしは何がしたいのか」と考える羽目になった

一番関心があるのは「この国の河川事業のあり方」だと気づいた
もっとちがう川との関わり方があるはずだと葛飾区の環境モニターにもなっていた

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その結果
一番はじめにつくった
HP「野の花舎」は
-環境と教育を考える-とし
「川との共生と
明日へのオルタナティブ」

という文章を載せた



*この油絵は当時よく行った小貝川を描いたもの

論文など書いたことがなかったわたしには毎日が勉強だった
それこそ「論文の書き方」という本からの勉強だった

たくさんの文献を読み込んでいかなければならなかった
その中で、わたしは梅原猛の「川の思想」という本に出会った
この本で、この国の神社仏閣が環境保全に役立っているという視点をもらった

林の奥に小さな祠をみつけるとほっとするのはどうしてだろうと長年疑問だった
その答えがみつかったようで、とてもうれしかった

そう長い脱線だったけれど、これが言いたかったの
わたしは今だって、林の中で小さなお社に出会うと小さく手を合わせる
たぶんご先祖様からずっと続いたDNAがなせる業だと

決して富国強兵を狙って、歴史をねつ造し、
神道を国教にし廃仏毀釈した明治政府の戦略に乗っているのでないと

それなのに、今の日本の政治状況はまことに危うい
ひとりの人間としてささやかに氏神さまにも参れないほどに
心を冷たくさせる政治とはなんぞや

このわたしの疑問にこの本は応えてくれるだろうか
そんなはずはないと思いつつも


「『三宅記』は間違いなく伊豆諸島の文化の核心であり、
今後も読み返すたび新しい情報を引き出させてくれる重要な資源であり続ける・・・

そうなんだ・・・門外漢のわたしはとにかくごちゃごちゃ考えずに読んでみることかな

まあともかく「はじめに」を読もう
                                                                     

人の力が及ばない自然現象を目のあたりにすると、
古代人はそこに特別の働きを認め、畏怖し敬虔の念を抱いた
」と

そうだよ、荒れ狂う大自然を前にしたとき人間ってちっぽけなもの
そこに神の存在を感じるものなのだろう


古代人が自然のなかに分け入って、森を切り開こうと考えるとは
人間ってなんと尊大な考えを持ったものだろうと思った

あっ、これって人類と現代文明を根源的に問いかけた
梅原猛氏の「ギルガメシュ」を読んだときの気持ち・・・
あの本を読んだとき興奮したっけ
彼が「本当は小説家になりたかった」と書いていたっけ
でもうまく書けなくて哲学者になったと

当時わたしは司書教諭として学校の図書室にいつもいた
で、図書準備室はわたしの書斎になっていた

梅原氏の本を入れようかな、中学生に読んでもらうには絵本の方がいいかなって
「ギルガメシュ王ものがたり(著:ルドミラ・ゼーマン)」を入れたのだった

この「火山島の神話」を読んでいると
忘れていたことがひとつひとつ思い出される
不思議な本だ

もう長いこと、わたしは前へ前へと常に目の前にある課題に追われていた
目の前にいる生徒の事で頭がいっぱいになり、とにかく必死で生きてきた
次から次に起こる事件の渦中にあったようなものだ
ある教え子がいみじくも言ったね
「先生って不思議な人だね、人の問題もいつの間にか自分の問題になっている」と

それが今、わたしは今まで考えもしなかった新しい分野の本を手にし
ここ何年間も眠っていた脳のある部分が活発に動き出したようだ

それはなぜだろうって考えると
ここに書かれている一文一文がいちいち頷けるからだ
そうそう、そうなのよね
うんうんと読み始めている

それはたとえば文章の構成が実に論理的だからかもしれない
『三宅記』は我が国でも稀な「噴火造島の神話」であり、
一地方に伝来、集積した説話を配列した「歴史書」でもある
」と
『三宅記』が全体として訴えているのは何であろう。
さらにそれを描いて伝えなければならなかった理由はどこにあったのであろうか
」と
そして
次の四つの視点を基にその謎に迫っていきたい」と
1.『三宅記』から歴史を読み取ること
2.『三宅記』が担った在来神祇の整序の役割
3.神仏の統合化を目指した仏教が土着化する過程
4.『三宅記』を全体としての構造と論理をもつ作品とみる

こうした切り口で1つ1つの課題を迫っていくって、たしかにワクワクすることだ


一番おもしろいって思ったのは、成立年代の分析、推量だ
書かれた年代の定説はない」とし、それぞれの仮説を文献にあたって説明していく
そして著者は「本書では『三宅記』のなかにこそ根拠があるという立場をとる」と
ひとつひとつの根拠をあげ立証していく
これってまさに数学の手法だよ

わたしは人と人が合意形成するときに不可欠なのはこういう思考法だと考える
しかし哀しいかな、「論理学なんて習ってないよ」と却下されることが多かった
あなたの言っていることとわたしが言っていることって全く相反するものではないでしょ
ベン図書いてみれば、ここに一致点があるじゃない。、ここで前に進めるしかないでしょ
と言っても「いやベン図なんて知らない」とうそぶかれる

哀しいよ、論理学って言葉知らなくてもいいよ、ベン図って図知らなくてもいいよ
わたしの言っていること理解してほしいなって





ああ、疲れた
今夜はここまでにしよう!

「市井の研究者の熱意が伝わるから是非読んで!」ってツイートしたら
五力田の榮美さんがリツイートしてくれた
ありがとう!

また続きはいつか書きます

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コメント(4件)

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ののはなさん。とても興味深い本なので、さっそく購入して読み始めています。良い本のご紹介、ありがとうございます。
コアラ
2017/02/08 12:27
♡゚。コアラさん ゚。♡
実はそちらに送ろうかと思っていた矢先でした。コアラさんなら絶対に興味を持たれるって思ってました。友人には地域の図書館にも置いてもらうよう、注文をだしなさいって、忠告いただいて。わたしってほんとうにこういうことでは感度鈍くて、 明日、国谷さんの本と一緒に「購入希望」を出しに行くつもりでした。
コアラさんありがとうござます。
 この本を読み始めて、わたしの脳細胞はほんとに今まで眠っていたのかって思います。それで急にコアラさんの徹底検証「新しい歴史教科書」を取り出してみました。ところが2巻がどうしても見あたらない。どうしたのかな。挫折していたせいだと反省。今また1巻から読み直しています。コアラさんの文章はとても読みやすいです。それでもわたしの頭はほんとうに悪いのです。社会科は苦手という思い込みなんとかしなければ。
 で、今、ほんとうに一生懸命読んでいるのですよ。笑ってしまいます。あんなに本好きでもすべての本が好きではないのよ、って子どもたちに言っていたくせにね。自分の書棚を見て、歴史に関する本がほんとうに少ない。本屋さんに行ってもそのコーナーには間違っても行かない。困ったものですね。ただ最近、保阪正康さんの昭和史をゆくだったかしら、あのシリーズは読みました。
 凝り固まった自分をほぐす試みも楽しいものですね。また読後感など教えてください。
ののはな
2017/02/08 20:55
「神社仏閣が環境保全に役立っている」
という一節を読んで、南方熊楠の神社合祀反対運動を
思い出しました。熊楠は、国の方針である神社合祀で、
地方の小さな神社が消えて行く事により、
神社に属する森林が失われ、自然に悪影響が及ぶだけでなく、
鎮守の森を守ってきた人々の連帯感が薄れる結果、
地域社会の崩壊にも繋がる事を予見していたのだと思います。
彼の問題意識は、今の我々にとっても有益ですね。
yasuhiko
2017/02/10 17:26
♡゚。yasuhikoさん ゚。♡
そうですね。南方熊楠は偉人ですよね。わたしなどには偉すぎて手に負えないのですよ。
>神社に属する森林が失われ、自然に悪影響が及ぶだけでなく、
>鎮守の森を守ってきた人々の連帯感が薄れる結果、
> 地域社会の崩壊にも繋がる事を予見
なるほどね。彼の問題意識、もう一度みんなで共有したいですね。
近いうちに読んでみたくなりました。ありがとう!

ところで、こんなことからも、国家というのは一体何なのかって考えてしまいますよね。国を運営させて挙げているだけなのに、もう権力を握ったと勘違いして、国もなにもすべて思いのままにしてしまう。これだから、権力を持つ者が暴走しないように歯止めになる「憲法」が必要。その悲願の憲法を戦後やっと手にしたのにね。
有吉佐和子の「海暗」はそういう意味で、なぜ平和憲法をやっと手にしたのに、なぜアメリカの地位協定のために、島が基地化されるのかを問うたものです。
ののはな
2017/02/10 20:28

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